‖緊急声明‖

大阪市を廃止し、大阪市立大学をなきものにする
「大阪都構想」には反対です!


 「大阪市廃止、5特別区に分割」(いわゆる「大阪都構想」)の賛否を問う住民投票が5月17日に行われます。私たち大阪市立大学の存続・発展を願うものにとって住民投票の結果はたいへん気がかりです。橋下市長は、市立大学について、「キャンパスは残るが、府立大学になる」と言いました。その口調は市大の在学生、教職員、卒業生ら関係者の心情に思いを致さない軽いものでした。大学の統合再編は、二つある箱ものを一つにすればいいという単なる器の議論ではありません。先人の奮闘、努力のうえに築かれ、今に至るかけがえない歴史と伝統、学風、学問研究水準こそが大学の本領です。二つの公立大学を「二重行政」とみて、たんに解消をはかればいいというのは、あまりに一面的で無責任、もったいない話です。 橋下市長が、「二重行政」解消が「都構想」の目的だといい、まず二つの公立大学をあげ、大阪市を解体して、市大、府大を統合することでムダを解消するなどと言っているのは理解に苦しみます。大学統合のために大都市大阪を解体するというのでしょうか。こんな話でしか「都構想」のメリットが語れないというのは驚くばかりです。

 橋下市長は、「首都大学東京の運営費は140億円、府大と市大は計200億円で、分不相応だ」といいます。しかし、富裕自治体の東京都は首都大学東京の運営費の大部分を負担していますが、市大、府大は運営費の多くが国からの交付金であり、大阪は東京に比べてはるかに少ない負担で、市大、府大あわせて二倍近くの学生が学んでいます。市大、府大が「東京に比べて負担が大きすぎる」というのはまったくの偽りです。

 国公立大学の数は、東京13、北海道12、愛知7、福岡7、京都6、兵庫5、広島5、神奈川4、大阪4。統合されると大阪は3校になります。これで大都市大阪がふさわしい高等教育・研究環境を備えているといえるでしょうか。市大、府大は創立以来、市民、府民に、比較的安い学費で、自宅から通える、貴重な高等教育の場を保障し、大阪の知の拠点として、経済・文化・科学技術の発展に貢献してきました。橋下市長も「大学がある街は活気づく」といっています。この大学を減らすことは、市民、府民、そして受験生の願いに反するのではないでしょうか。

 橋下市長は「大学をまとめて規模を大きくし強力にする」といいます。関西には規模の大きい大学がいくつもあるなかで、市大が一定のレベルを維持し、評価を得てきたのは、先人の奮闘と努力によるものであり、規模がすべてではありません。ノーベル賞を受賞した南部陽一郎さんや山中伸弥さんは、市大時代に「自由を満喫できた」「白紙に書けた」と振り返っています。学問・研究の発展にとって、憲法が保障する学問の自由、大学の自治こそ重要と考えます。橋下市長が「学長を選ぶのは市長」「教授会がしゃしゃり出るというばかげたやり方は認めない」というのはそれと相いれません。 あと先考えない大阪市つぶし、「大阪市立大学」をなきものする「都構想」には反対です。

2015年4月30日
 
                   大阪市立大学の統合問題を考える会
                    連絡先:仲本和明 072-941-7932


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