「市大・府大統合」問題に関連する、議会議事録など その2

その1  
大阪市議会平成24年度決算特別委員会(井上浩議員質疑)
(2013年11月08日)
大阪市会会議録検索システムの検索結果からダウンロード、その一部を抜粋・編集して掲載。
正式な議事録ではありません。公式議事録は、 こちら
誤字・脱字は、ダウンロードした文書のままで、上記表題は本サイトによる。

(本サイトによる前略)
○木下誠委員長 これより委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 井上委員にお願いいたします。井上委員。
◆井上浩委員 まず、大学統合問題について質疑をさせていただきます。
 委員長、資料配付をお願いします。
○木下誠委員長 井上委員より、質疑の参考に資するため資料の配付の申し出がありますので、これを許します。
◆井上浩委員 まず、確認でお尋ねします。大阪市から市立大学への財源措置についてお伺いをしたいと思います。
 運営費交付金と地方交付税に係る基準財政需要額の関係はどうなっているのか。その仕組みについて御説明をお願いします。
◎岩谷経済戦略局総務部大学支援担当課長 お答えいたします。
 大学の基準財政需要額は、地方交付税法に基づきまして、一定の基準に基づき算出された学生1人当たりに要する経費、いわゆる単位費用に在学生数を乗じて算定されたものでございます。実際に、各自治体に交付される地方交付税の交付額は、大学も含めた基準財政需要額全体から税収の75%分などを積み上げた基準財政収入額を差し引いた財源不足分となるため、基準財政需要額として算定された額が地方交付税として市に交付されるわけではございません。
 例えば、税収が大幅にふえて基準財政収入額が基準財政需要額を上回る場合は、地方交付税はゼロとなりまして、交付税の不交付団体となります。そのため、運営費交付金と基準財政需要額との差額が、市のいわゆる持ち出し分であるとは一概に言えず、また、地方交付税は地方自治体の一般財源であり、その使途は自治体の自由な裁量に委ねられていることから、基準財政需要額は経費支出の一定の目安になるものと認識しております。以上でございます。
◆井上浩委員 基本的なことを確認させていただきました。
 それでは、市長にお尋ねをいたします。
 東京都は、地方交付税の不交付団体であります。したがいまして、基準財政需要額の算定はされますが、基準財政収入額に係る財源不足額はゼロであり、首都大学東京への運営費交付金には都税収入等の財源が充てられております。大阪市と東京都では、それぞれ運営費交付金の財源構成が異なることから、市立大学と首都大学東京の金額を単純に比較すべきものではないと思います。
 しかしながら、市長は、資料の2枚目にもございますように、しばしば、市立大学と府立大学に合わせて200億円もの税金をつぎ込んでいる。こんなばかなマネジメントはない、といった発言をされておられます。府知事時代の御発言、そして、そういう一連の発言が真ん中の新大学構想の中にそっくり反映されておられます。そして、つい最近の記者会見でも同様の趣旨で御発言をされておられます。
 お尋ねいたします。この発言の根拠についてお答えください。
◎橋下市長 根拠というよりも趣旨だと思うんですけれども、自治体は自分たちの身の丈に合った施設を持たないと、これはもう財政上もちません。その際に、東京は不交付団体といって、日本の中でもかなり裕福な団体なわけですね。オリンピックも招致をする、財政調整基金は1兆円を超すとも言われています。そういう自治体ですら、公立大学として140億円の一般財源を投じて、公立大学を抱えている。
 その東京と比べて財政状況も非常に苦しく、国から地方交付税をもらわなければ運営できないような大阪、これは大阪府も大阪市もあわせてですけども、その大阪という都市が200億円の一般財源を税投入をして公立大学を持つべきなのか。もっと言えば、200億円かかる公立大学というものを持てる都市なのかということを考えなければいけないというふうに言ってるわけです。
 単純に、府立大学と市立大学を統合した後に、今投入している運営費交付金を一律削減というようには考えてはおりませんが、それでも都市の規模に合った大学というものを持たなければいけないところを、今の大阪は大阪府と大阪市でばらばらに大学を運営してきていましたので、大阪全体の都市として、実は公立大学に200億円もお金を投じているんだよということが府議会でも市議会でもそういう認識を共通にすることができませんでした。これは本当に、非常に不合理といいますか、あってはならないことだと思いますね。
 ですから、これだけ大きな大学を抱えること、大学の役割は重要なことは承知していますけども、それでも自治体の規模、財政状況に合わせた施設を持つべきということで、地方交付税をもらっていない東京都ですら大学運営には140億円の税しか使っていないところ、この大阪という都市において、府立、市立合わせて、大阪全体で200億円もの税投入をしながら大学を抱えなければいけないのかという、そういう問題意識です。
◆井上浩委員 大阪市として丸々100億円単費を突っ込んでいるかのように言うのは、不正確だと申し上げておきたいと思います。この発言、お配りしました資料を見てますと、そのように見てとれるわけなんですね。ですから、それは正確ではありませんので、したがって、全くばかなマネジメントではないということをまず申し上げておきたいと思います。
 さて、市長、この発言の記者会見の部分ですね、60億円を住民サービスに振り向けるべきと後段のほうにございます。住民サービスといいましてもいろいろございますが、どんな住民サービスに振り向けようというんでしょうか。
◎橋下市長 委員のちょっと税金に対する感覚は、もう今、驚愕でしたね。それ、国税であろうが、市税であろうが、これは税金なんですよ。市単費じゃないからとかそんな発言は、僕はもう本当に不思議でなりません。しかも、地方財政制度というものは、これは地方交付税という形で基準財政需要額分がキャッシュで国から来るわけじゃないんですよ。これは収支不足を補うだけですから、基準財政需要額分が国税としてキャッシュで来てるわけではありません。もらえているのは、基準財政収入額と基準財政需要額の差額分ですから、ほんの一部だけ。
 しかも、これ、総額管理をされるわけですから、本当に地方にとって必要なお金が来てるかどうかもわからないようなそういう状況の中で、これは市単費でないんだから200億円突っ込んでもいいじゃないか、僕はそれは信じられないですね。これは、一般財源なわけですから、大阪市として、また大阪府として、いろんな施策にそのお金を振り向ける、それがある意味予算編成の一番重要なところだと思います。
 どういう住民サービスに充てるのかというところは、一定の財源が確保できれば、それは当然教育に充てる、福祉に充てる、いろんなところに充てることが可能です。既に、大阪市において、これまで共産党が幾ら言ってもできなかったような施策、これを一挙にどんどん実現していってるわけで、これだけで年に200億円を超える一般財源が必要な状況になってるわけですから、そういうところも含めて税金を振り向け過ぎのところは抑制しながら、これから次代の大阪を担う子供たちのために必要なところに予算を振り向ける、また、少子高齢化時代を迎えて高齢者のサポートのために必要なところに予算を振り向ける、これはもう予算編成の話です。
 ただ、いずれにしても言えるところは、税を投入し過ぎのところは抑制して、必要なところにお金を振り向けるということが、これからの時代、必要なところでありまして、この府立大学、市立大学の問題は、これまで府立、市立が分かれていたもんですから、100億円ぐらいのお金だったらという、そういう感覚だったんでしょうけれども、東京都ですら、あの裕福な自治体ですら140億円しか大学にはお金を使っていない、そういう中で、大阪が200億円も国税、市税含めて税投入を大学にしていいのかという、そういう問題意識は絶対に必要だと思いますね。
◆井上浩委員 地方交付税制度の理解が足りないというお言葉でございましたけれども、そっくりそのまま市長に返上をさせていただきたいと思います。地方交付税制度の根本的な理解がないのは市長であります。それは、この今お配りした資料、専門的な知識を持っている人であれば誰でもわかる、これはすりかえだということであります。地方交付税法第1条には、この法律は、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とするというふうにございます。この趣旨にのっとっていない、それがこの発言であります。
 また、私は、市長が記者会見でこうおっしゃってるからお尋ねしたわけでありまして、60億円を振り向けると言っている以上は、当然そういうイメージがおありだと思って聞いたわけですけれども、具体的なお話は何もございませんでした。そういったことを示せないのに、ただただ経費削減先にありき、これは本当に無責任だと言わなければなりません。
 市長は、現役世代への重点投資をすると言っております。この市大こそ現役世代への投資なんじゃないでしょうか。現役で入れば18歳、そして20代を迎え、30代の学生さんもいらっしゃるでしょう。社会人の方もいらっしゃるでしょう。まさに現役世代への重点投資なんですよ。知的投資であり、未来への投資であります。
 市長は、ICTなど小学校や中学校の教育、こういった基礎教育に力を入れるとする一方で、その集大成である高等教育は削ると、これは市長御自身の方針にも矛盾をするということも申し上げておきたいと思います。
 大学の統合という方向でしか効果的な費用対効果が得られないとする根拠は一体どこにあるのか。両大学が連携、共同を一層深めることで、合理的に相乗効果を上げることができる分野もあるはずです。その探求もなく、統合先にありきで強引に進めようとするから議会でも陳情書が採択をされたように、余りに拙速だという声が上がっているわけであります。
 統合して今よりよくなる保証はどこにあるんでしょうか。そのよくなる保証の部分を具体的に示せなければならないのに示されておりません。やってはみたけれども、失敗しましたでは許されません。そこが何も示されていないことに関係者は不安を感じているんです。コストがかかり過ぎたために、さらに教員を減らさなければならなくなってしまった、あるいは学生さんの学費を大幅に値上げしなければならなくなった、もしもこんなことになったら、一体何のための統合やったんか、本末転倒で迷惑な話であります。
 さて、市長、もう1点お聞きをいたします。
 本来、大学の統合といったことは、大学の内発的な要求に基づいて進められるべきものだと思いますが、市立大学自身は本当に府立大学との統合を望んでいると考えているんでしょうか。
◎橋下市長 もう一度、地方財政制度を勉強してくださいね。大阪市は、交付団体なわけですから、基準財政需要額に見合う基準財政収入額がないわけなんですね。そうしましたら、これ、財政の均衡を保とうと思えば、基準財政需要額どおりにその施策、支出をするかなんですよ。ところが、大阪市は、基準財政需要額に積まれてる以上の施策をいろいろやってるじゃないですか、敬老パスにしかり、何にしかりそうですよ。基準財政需要額以上のいろんな施策をやってるということは、基準財政需要額で積まれてるようなものに関して、どこかで抑制をしないとバランスとれないわけです。
 だから、ちょっと委員は、地方交付税制度についての理解が足りないので、基準財政需要額以上の施策をさまざまやってるにもかかわらず、大学のこの部分を引き合いに出して基準財政需要額で積まれてるものは全部お金出せなんて言ったら、これはあっという間に財政破綻しますよ。
 それから、大学は現役世代の重点投資に当たるじゃないかと、それはそうですけども、一体幾らのお金を使うのかというところがまさに予算編成ですよ、財政の均衡ですよ。そら、大学はもちますけれども、どこまでお金を出すのかです。政令市の中でここまで運営費交付金を出してる政令市はあるんですかね。
 それから、大阪市は常に基礎自治体だということも言ってるわけじゃないですか。基礎自治体でここまでの大学を抱えてる自治体があるんですか。基礎自治体の役割は、まずは小学校・中学校、もっと言えば幼稚園・保育所、この段階ですよ。ここをしっかりやることが基礎自治体の役割であって、大学は基本的には、これ、高等教育というところは広域行政でやるのか、もっと言えば私立でやるのか国立でやるのかですよ。こういうところに自治体がどこまでお金を出すのかというのは、無制限に出すものではないですね。
 ですから、自治体の役割というところをもっと考えてもらいたいです。ですから、今、大阪市はこれまで小学校・中学校に対しての予算が余りにも少な過ぎて、先生に1人1台のパソコンも与えられていない。公立中学校の給食もなかった。小学校・中学校ではクーラーも設置されていなかった。こういう不十分なところを補うために、今、お金の使い道を変えてるわけですね。ですから、大学というものは、本来どこがやらなければいけないのかということをしっかり考えてみてください。
 60億円の振り向け先、具体策を言ってないじゃないかと言いますけども、一般財源の使い道ということももうちょっと勉強してください。もう、いろんな施策をやってるわけですから、その財源が足りない部分について、きちんと財源を振り向ける。既に、この現役世代に対する重点投資、200億円以上の予算をつぎ込んでるわけですから、この財源について手当てをするということが、これは予算編成です。
 大学の統合について、内発的な要求に基づくべきだというふうに言いますけども、それは全く違います。それも組織論を勉強してください。どの組織統合についても、それは組織の内発的な自発要求で組織統合なんかできるわけないじゃないですか、自分の組織を守ろうとするのに必死なんですから。それぞれの教員とかそれぞれ教授が大阪全体のことを考えて公立大学のあり方なんて考える、そういう役割じゃないんですから。そういうことを考える役割は、まさに我々であり、公選職である政治家だったり、組織のトップがそういうことを考えるんです。
 教員とか教授は、学生に対して一生懸命学問を教えていく、それが役割でありまして、大阪府立と大阪市立の大学の今後の将来像を考えるのは、それは現場ではなくて、やっぱり組織のトップ、そこが考えざるを得ないですね。そういう意味では、内発的な要求だけでこれは動かしていくものではありません。ただ、方針を決めるのはトップでありますけども、具体の統合のあり方とか大学のあり方については、これは現場でしっかり議論してもらいますから、これは新大学構想会議を初め、各大学にいろんな会議体を設けて、そこでしっかりと議論をしてもらっています。
◆井上浩委員 勉強不足というお言葉、そっくり、改めてのし紙をつけて返上したいというふうに思っております。
 設置理念、建学の精神が当然、言うまでもなく、全くこれは市大、府大違うわけですね。同じ学部があるといっても、当然のことながら研究内容も違いますし、それぞれの特徴が統合なんていうことで失われてしまう、そういうおそれもあるわけです。市大の幹部の方々も、交付金が減らし続けられる中で苦渋の選択を迫られているわけです。
 私は、市大のある教員の方にお話を聞きました。2000年、1人200万円近くあった研究費が今は60万円ほどになってしまって、学生は1.5倍にふえているのに、教員のほうは3分の2に減り、十分な教育研究活動ができなくなってしまっている、こういう切実な声でした。市大のある名誉教授の方は、こう言っています。この20年間、市大の学会における評価は残念ながら低下している。それは、法人化以降、予算の節約から、教員の数や研究費が相対的に低下していることによると言われている。成熟した先進国では、高等教育の発展こそが未来をつくる力と言ってよい、大変重い言葉であります。私は、もっと関係者、学生さんの生の声を市長は聞くべきだと申し上げておきます。
 また、お配りしました資料の最後、3枚目の後ろの部分ですけれども、人口100万人以上の政令指定都市を持つ都道府県の国公立大学数、ございますね。11都市中、下から3番目です。これ、2大学を統合すれば、今でも貧弱な大阪の知的インフラが日本最低級になってしまうわけであります。
 私は、市長に、1問目に基準財政需要額、交付税制度との関係でお尋ねをいたしました。全く議論がかみ合いませんでしたけれども、もし大阪市立大学がなかったと、そう仮定した場合に、冒頭の課長の説明にもございました。その分は、基準財政需要額は当然算定されません。当たり前の話です。算定されない分、おおよそ、その分は助成されないとみなすのは自然であります。
 基準財政需要額は、大体一つの目安になるという答弁もございましたとおり、あくまでこれは目安でございますが、その目安を基準に運営費交付金から基準財政需要額を差し引いてみますと、設置自治体の純経費では東京の半分程度であり、学生1人当たりの純経費では東京の8分の1程度となります。東京の半分程度の自治体純経費で首都大学東京の1.9倍に相当する広範な学生に大学教育を受ける機会を提供するという公立大学の使命を立派に果たしているわけであります。
 まさに、市長のやり方というのは、こうした交付税制度、あるいは地方自治体の本旨、うまくやりくりをして住民の暮らしをしっかり守る、教育、福祉を充実させる、そういう本旨から大きくかけ離れたやり方であり、この一連の発言というのは、まさに偽装だと言わなければなりません。統合という名の大学リストラをやめるように強く求めて、この問題の質疑は終わります。
 次に、防災対策について質疑をいたします。
 9月16日、台風18号による大雨で大和川が増水し、氾濫のおそれがあることから、住吉区を初め流域の4区の地域に避難勧告が発令されました。これは、大阪市で初めての避難勧告であり、さまざまな課題が明らかになったと認識しております。まず、大阪市域における台風18号による被害状況と、避難勧告により収容避難所に避難された方の状況をお伺いいたします。
(本サイトによる後略)
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