国会議事録に見る米軍駐留時代の大阪市立大学 米軍接収時代その3

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第022回国会本会議議事録
(1955年3月31日)
国会議事録検索システムの検索結果からダウンロード、その一部を抜粋・編集して掲載。
誤字・脱字は、ダウンロードした文書のままで、上記表題は本サイトによる。

(本サイトによる前略)
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、野原覺君提出、在日米軍の使用する大阪市立大学校舎の返還に関する緊急質問を許可されんことを望みます。 ○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
 在日米軍の使用する大阪市立大学校舎の返還に関する緊急質問を許可いたします。野原覺君。
    〔野原覺君登壇〕
○野原覺君 私は、日本社会党を代表いたしまして、在日米軍の使用する大阪市立大学杉本町学舎の接収解除に関し、政府の関係各大臣に対しまして緊急の質問をいたさんとするものであります。
 大阪市立大学の杉本町学舎のアメリカ占領軍による接収は、大学並びに大阪市の猛烈なる反対にもかかわりませず、昭和二十年十月、在日米軍の軍事施設として、四十八時間以内の立ちのき命令という強行手段によってなされたのであります。ために、大学は、今日まで十カ年の長きにわたり、やむなく市内に散在する六つの小学校に分散をせられまして、その後校舎の一部返還を見たものの、依然として大学運営の困難が解消せず、その難渋はまことに言語に絶するものがあるのであります。しかもなお、一部解除を見たる杉本町学舎は、昨年の六月アメリカ海兵隊の移駐以来、現地付近は一挙に基地の相貌を呈し、学舎の三万は金網に張りめぐらされ、校舎のまうしろに当る運動場ではヘリコプターの発着が行われ、米軍の演習がなされておりますために、その騒音が大学の研究、授業、教育上はなはだしい支障を来たしておるのであります。
 そこで、私は、政府の関係大臣に対しまして、次の三点につき質問をいたしたいと思うのであります。
 質問の第一点は、日米安全保障条約に伴う行政協定締結の当時から、アメリカ側が接収使用する家屋等については、教育施設を優先的に解除するという了解があったはずであります。しかるに、終戦後十年、行政協定締結以来三年を経過せんとする今日、なお返還が実現されないのはどのような事情によるのか承わりたいのであります。一体、政府は、これらの校舎施設の接収解除について、一、今日までアメリカに対しどのような交渉を行なってきたのであるか。二、真剣に対米交渉を行なってきたけれども、アメリカがどうしても応じないというのであるかどうか。三、アメリカが応じなければ、これをそのままに放置しておくつもりであるかどうか。その間の事情を特別調達庁担当の西田労働大臣より詳細に御説明願いたいのであります。
 質問の第二点は、昭和二十七年五月六日、第十三国会におきまして、本院は教育施設等を米軍の軍事施設に使用しないことを内容とする決議を上げておるのでございます。もし政府にして真に本院決議を尊重するの熱意があるならば、アメリカ軍をして返還せしめることが不可能の場合には、政府はすみやかにこれにかわる施設を建設してでも校舎の全面的返還をなすべきであると思うのでございますが、これに対する政府の所見を伺いたいのであります。
 第三点は、杉本町学舎の現状は、前にも述べましたように、金網を隔てて今日アメリカ軍と大学の学生が全く隣に接しておるのであります。従って、大阪市立大学の学生諸君の感情に刺激を与えるばかりでなく、女子学生、女子職員に対する風紀上の問題から考えましてもきわめて憂慮すべきものがあるのでございまして、しかも小学校、中学校の校舎は六つもこれに使用せられております関係上、今日大阪市が全国で最も二部授業が多いという原因の一つにもなっておるのでございます。なおまた、大阪市立大学は大阪市民が建てた大学でございます。市民の設立いたしました大学がいまだに兵舎として接収されておるために生ずる市民の対米感情の面から考えましても、早急なる全面的返還の実現が要望されているのでございます。一体いつになれば校舎の全面的接収解除の実現が可能になるのか、責任ある西田労働大臣から明確なる御答弁を要求するものであります。
 以上をもって私の質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣西田隆男君登壇〕
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。大阪市立大学の校舎の問題につきましては、重要な教育施設でありますので、政府といたしましては、特別調達庁が中心となりまして、従来から再三、再四にわたって米軍と交渉をいたしております。その交渉の方法は、直接交渉をやってみたり、あるいは日米合同委員会を通じて米軍側に対して建物のすみやかな返還を要請いたしております。今お話もありましたように、すでにその一部のものは返還をされておる状態でございます。現在までの交渉の結果によりますと、本年の十月一日までには解決について米軍側で考慮をするという正式な御返事を得ております。従って、政府としましては、おそくとも今年の十月一日までには全部のものを返還していただきたいという考え方を持っております。地元関係者その他におきましても非常に強い要望がありましたので、なお調達庁を督励いたしまして、その以前であってもすみやかに解放、返還してもらいますように全力を尽す考えであります。
(本サイトによる後略)
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